中谷防衛相は、安全保障関連法案で示されている要件を満たせば、敵地への攻撃も可能との認識を示しました(※)。
具体的には北朝鮮の弾道ミサイルによる攻撃を想定しているのかもしれませんが、実際には、現在の自衛隊の能力で敵地攻撃は難しいと言えます。
なぜならば、現有の装備では、F-2戦闘機にGPS誘導弾(JDAM)の組み合わせが敵地攻撃用途として考えられますが、ステルス性能が高くないF-2を、敵の防空網が健在の状況下に侵入させることは大きなリスクを伴います。
一般的には、敵地攻撃の際、巡航ミサイルが費用対効果の面で有効と考えられています。
巡航ミサイルは、弾頭ミサイルと異なり航空機のように低空を地形に沿って飛行し、GPSなどの誘導により目標を捉えるものです。
こうした巡航ミサイルは、中露だけでなく台湾や韓国も装備していますが、日本は保有していません。
巡航ミサイルは、万能ではありませんが、既に自衛隊でもその検討をしているとの報道もあります。
比較的容易に潜水艦や水上艦艇などに搭載が可能なので、現実的な敵地攻撃能力として導入すべきではないでしょうか。
いずれにせよ、まずは日本として防衛上、敵地攻撃が可能であるということを明確にすべきと考えます。
その上で、有効な敵地攻撃能力を自衛隊が保有することは、日本の抑止力を高めることに繋がります。
※:5月25日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H1O_U5A520C1PE8000/