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2015/05/20【核拡散防止条約は機能しているのか】

 国連の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の合意文書の素案について、日中の対立が未だに続いています。
 

 もともとこのNPTは、核保有5カ国(米英仏露中)以外の核兵器保有禁止や、核保有国の核軍縮を目的に制定されましたが、実質的に機能しているのか疑問です。
北朝鮮の条約からの脱退など核保有国が増えている現状がありますし、中国に関してはとてつもないスピードで核攻撃能力を向上させています。

 過日、中国軍が多弾頭型の核ミサイルの運用を開始したとの報道がありました(※)。
これはMIRVと呼ばれる技術で、1基の弾道ミサイルに複数の核弾頭を搭載し、それぞれの弾頭が空中で切り離され、一定の範囲内で別々の目標を攻撃できる技術です。
当然、単弾頭型に比べて多弾頭型は、弾頭を分離した後の迎撃が困難であるため、既存の米軍の防衛システムを突破できるとの指摘があります。
中国は既に水中発射式の弾道ミサイル(SLBM)を実戦配備し、最近では中国近海から米本土を攻撃できる新型のSLBMを開発したとの観測があります。

 こうした中国の核戦力の強化は、日米同盟に影響を及ぼす可能性があります。
それは、中国が日本を攻撃し日米同盟が発動する段に、中国が米国への核攻撃を警告すれば、米国が日米同盟の発動を躊躇する可能性があるということです。

 こうした事態にならないためにも、日本は安全保障法制の整備を遅滞なく行い日米同盟を強化して米国を日本に引き留めるとともに、日本は自主防衛力の強化を図り抑止力を高めておく必要があります。

※:5月17日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150517/wor1505170015-n1.html