過日、「明治日本の産業革命遺産」が、ユネスコの世界文化遺産に登録される可能性が高まったことをお伝えしました。
日本国内の関係地域では、早速、登録に向けて地元の人々が沸いています。
しかし、これに水を差すかのように、韓国が登録阻止に向けて活動を活発化させています。
韓国側の言い分は、日本が申請した遺産群のうち7カ所で、朝鮮半島が併合されていた時代に朝鮮半島出身者が強制動員され死者も出たため、世界遺産条約の基本精神に反するとするものです。
これに対し日本政府は、「遺産の対象は1850年代から1910年で、韓国が主張している旧民間人徴用工問題とは、年代、歴史的な位置づけ、背景が異なる」としています(※)。
韓国が併合されたのが1910年ですから、年代がほとんど重なっていないことがわかります。
また、世界遺産には当時の軍事関連施設も多く、当事国が対峙した歴史の中ではその遺産に関連して犠牲者がいたものもります。
従って、遺産に関連して犠牲者がいるからと言って、それが世界遺産条約の基本精神に反していると言えないことが分かります。
そもそも、強制動員させられたとしているものの、朝鮮半島出身者の多くが自主的に日本に来ていたという事実も見逃せません。
このように韓国側の主張はほとんど言い掛かりであり、登録阻止の活動は、文化的な観点というよりも、韓国国内の政治的な理由が主と言えます。
歴史問題で劣勢に立たされる韓国は、登録阻止で憂さを晴らしたいのかもしれませんが、こうした韓国の動きは日本国内の対韓感情を一層悪化させます。
日韓関係の悪化は、朝鮮半島の安全保障に悪影響を及ぼすことを知らなければならないと思います。
※:5月8日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150508-OYT1T50060.html?from=ytop_ylist