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2015/05/07【日本の事情を汲んでもらう努力を】

 安倍首相は、ロシアから招待を受けていたモスクワで開催される対独戦勝70周年記念式典を欠席することに決めました(※1)。
 

 ウクライナ情勢をめぐってロシアと対立する欧米に歩調を合わせた格好ですが、欧米の首脳が欠席を決める中で中国の習近平主席は出席する見通しとなっているだけに、中露の結び付きが強まることが懸念されます。
 

 日米同盟が日本の安全保障の基軸とは言え、対中国を踏まえれば日露の結び付きも重要です。
今回の式典には、日本として駐露大使が代理で出席するとのことであり、前回の60周年の式典に比べて出席する首脳クラスは大幅に減る見通しですが、日本としてロシアの面目をより保つ方策を考えてもいいのではないでしょうか。

 中露は、今回の式典に合わせるかのように地中海で合同軍事演習を実施することを明らかにしています(※2)。
欧州各国は、ロシアへの警戒に比して中国の脅威に対する認識が甘いようですが、この演習は中露両国による欧州への牽制とも取れます。

 ウクライナ問題は、旧ソ連圏の問題であり、それも元をただせば経済問題に行き着きます。
対して、中国は世界の覇権を握りたいという明確な野心があります。
欧州にとってのロシアの脅威以上に、日本や世界にとって中国の脅威は大きいと言えます。

 日本政府は、各国に中国の脅威を正しく理解してもらうと同時に、日本の事情を汲んでもらうべく一層の努力が必要と考えます。

※1:4月28日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/150428/plt1504280038-n1.html
※2:5月6日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20150506-OYT1T50030.html?from=ycont_top_txt