統一地方選の後半戦に向けて、各地の市議会選、町議会選などが本格化しています。
その中で特に原発が立地する自治体を中心に、原発に反対する候補が、原発の再稼動の是非について、「命を取るのか、経済を取るのか」といった旨の問いかけをしている様子を見聞きします。
原発に隣接する自治体では、原発の存在が住民の生活により密接に関わるため、選挙戦でもそうした議論をすることは重要かもしれません。
しかし、冷静に福島第一原発の事故による人的被害の有無を考えてみると、放射能が直接の原因となって命を失った人はいないという事実があります。
命に関わりがあるとすれば、急な避難や長引く避難生活、帰還の目途が立たないことによる将来への不安、こうしたことで健康を害したり、自死を選んでしまったりすることではないでしょうか。
従って、福島第一原発の事故対応で、本当に検証しなければならないのは、非難指示が適切であったかと言うことではないでしょうか。政府が、除染の目安とする年間の追加被曝線量1ミリシーベルトと言う数値は、国連科学委員会の年間100ミリシーベルト以下の放射線量では健康被害は出ないとする報告からはかけ離れています。
また、政府が帰還の目安とする年間20ミリシーベルトという数値も同様です。
現在も過酷な避難生活を強いられている方々の心中を察するには余りあるものがありますが、本来は避難する必要が無いエリアでも避難が続いていないのか、科学的に検証すべきではないでしょうか。
同時に、放射線そのものについても、必要以上に恐れていないか、政府やマスコミも積極的に情報を発信していくとともに、報道被害とも言える風評被害の払拭に努める必要があると考えます。
更に、経済的な問題についても、経済の低迷と自殺率の増加は無関係でないということを指摘しておきたいと思います。