先ごろ、海上自衛隊で最大となる護衛艦「いずも」が就役しました(※)。
「いずも」は空母のような形をしてはいるものの、自衛隊ではあくまでも「ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)」という分類です。
しかし、「護衛艦=駆逐艦」もしくは「護衛艦=フリゲート艦」ということであれば、個艦防御用の短距離対空ミサイルや高性能機関砲しか持たない「いずも」は、ひいき目に言っても国際的には「ヘリ空母」ということになります。
「空母」という響きに専守防衛の観点から過敏に反応する声も聞かれますが、他国のように戦闘機や攻撃機といった固定翼機を運用できる空母とは違い、「いずも」は対潜水艦作戦や災害時の対応などに主眼を置いた艦艇と言えます。
もともと海上自衛隊のDDHは、護衛艦8隻、ヘリ8機からなるユニットである「(新)八八艦隊」構想から生まれたものです。
対潜作戦に主眼を置いた海上自衛隊では、護衛艦と連携して作戦にあたる対潜ヘリは重要な装備として位置づけられ、汎用護衛艦(DD)1隻に1機が充てられていました。
一方で、艦隊防空を担う護衛艦(DDG)は、搭載する中長距離対空ミサイルのシステムがかさみ、当初、ヘリを搭載する余裕がありませんでした。
そこで、DDG2隻分のヘリを補う形で、ヘリ3機を搭載できるDDHが誕生したのです。
つまり、DDH1隻、DDG2隻、DD5隻で、護衛艦8隻、ヘリ8機という構成が可能となったのです。
その後、ヘリの重要性がますます高まる中でDDHを更改するに当たり、一般的な護衛艦の後ろ半分を飛行甲板にした従来のDDHでは制約が多いことから、全通甲板という空母のような形のDDHが就役するに至ったのです。
現在、中国海軍は日本周辺での活動を活発化させています。
特に、沖縄県の尖閣諸島周辺ではその活動が顕著なのですが、尖閣諸島の最寄りの自衛隊の航空基地は300km以上も離れているため、「いずも」のような艦種の重要性はますます高まっています。
「いずも」は改装により特定の機種の固定翼機を運用可能と考えられますが、今後、日本は、固定翼機を運用できる正規空母の導入を検
討すべき時に来ていると考えます。
※:3月25日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/150325/plt1503250022-n1.html