米軍によると、中国は昨年7月に2度目と見られる衛星破壊実験を行ったとのことです(※)。
中国は、着実に宇宙空間での攻撃能力を取得しつつあり、米軍やその同盟国である日本の安全保障への脅威が高まっています。
通信衛星やGPS衛星、それにレーダーや光学装置を用いた偵察衛星など、現在の米軍の運用には人工衛星が欠かせません。
米軍が世界最強と言われる理由の一つは、これらの衛星を用いて、一歩兵から戦闘攻撃機に至るまで高度にネットワーク化されている点です。
「どこにどのような敵が確認されていて、それぞれの敵に対して自軍の誰がいつどのように対応するのか」などといった情報が効率的に共有化されています。
万一、これらの衛星が無力化されるような事態になれば、米軍の能力は大きく落ち込むことは間違いありません。
実は、宇宙空間の衛星は、その軌道が容易に算出できる一方で、軌道の変更は容易ではありません。従って、衛星は攻撃に対し脆弱なのです。
中国は、衛星破壊実験について詳細を公表していませんが、中国が衛星を破壊する能力を有していると示して、米軍を牽制する狙いがあるものと思われます。
米軍は、事態を深刻に捉えて対応策を検討しているものと思いますが、日本の宇宙空間での軍事利用は、中国に対して大きく遅れていると言わざるを得ません。
新たな戦闘空間としてサイバー空間の重要性が認識されつつありますが、我が国も、宇宙空間での安全保障についても、検討を急ぐ必要があると考えます。
※:3月25日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150325/wor1503250043-n1.html