日仏両政府による外務・防衛閣僚協議で、日本側がフランスに対し対中武器輸出に懸念を表明したとのことです(※)。
日本側が念頭においているのは、ヘリコプターが艦船に降りる際に使用する機体の拘束装置のことで、過去、フランス企業が中国側に売却したとのことです。
フランス側は、日本側に対し、本装置は民生用であり武器には当たらないとの認識を示したとされますが、実際には、本装置あるいはその複製品が、次々に建造されている中国海軍の最新鋭艦艇に装備される模様です。
中国海軍は、本装置を使用することで、悪天候下など揺れる艦上で、安全かつ効率的にヘリコプターを運用することが可能となります。この装置は、海洋進出を拡大する中国海軍の能力向上に寄与し、中国と摩擦を抱える周辺諸国にとっては脅威となります。
そもそも、中国の最新鋭の駆逐艦やフリゲート艦に搭載されている「Z-9」と呼ばれるヘリコプターは、フランス製の「ドーファンⅡ」と呼ばれるヘリコプターの複製です。
中国に売却されたドーファンⅡも民生品との位置づけでしたが、侮れない能力を有する哨戒ヘリコプターや、攻撃ヘリコプターへと昇華しています。
あまり報道されていませんが、この他にも西側の企業が中国に売却した機器をベースに、中国は様々な兵器を国産化し、その能力を向上させています。
先に、イギリスが中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明しました。
AIIBは、組織運営の透明性の欠如が指摘されているにも関わらず、イギリスは中国との経済的な結び付きを優先したと言えます。
このように、フランスだけでなく欧州諸国の間では、中国の脅威が現実感をもって認識されていないようです。
欧州諸国は、民主主義国家の旗手のはずです。中国がどういう意図を持った国か正しく認識して、経済的な利益を優先する考えを改めてもらいたいと考えます。
※:3月14日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/150314/plt1503140019-n1.html