中国の潜水艦が、昨年、スリランカに寄港し、スリランカが中国海軍の前進基地と化すのではないかとの危惧が持ち上がりました。
スリランカの隣国であるインドは、長年、中国と潜在的な対立関係にあります。
同じく、長年、インドとの関係が必ずしも良好ではないスリランカを取り込むことは、中国にとって、インドを牽制する上で大きな意味があります。
隠密性の高い潜水艦が活動するということは、その海域でいつでも海上交通路の破壊を行えるということであり、スリランカで補給を受けることができるようになれば、中国海軍は通常動力型の潜水艦であってもインド洋での活動が容易になります。
しかし、今年、スリランカに新たに誕生したシリセナ政権の外相は、近い将来、中国の潜水艦がスリランカに寄港することはないと明言しました(※)。
前政権下では、長年、スリランカへの最大の支援国であった日本に代わって、近年では中国が最大の支援国となっていました。
シリセナ氏は、中国依存の前政権を批判して、政権交代を実現させました。
中国海軍が、インド周辺までも活動範囲を広げるということは、日本にとっても無関係ではありません。
スリランカ近海は、中東と日本を結ぶシーレーンそのものだからです。
スリランカは、太平洋戦争中、日本軍がスリランカの英軍部隊を攻撃したこともあり、その意味で戦火を被った訳ですが、戦後、スリランカの代表は、太平洋戦争の日本への損害請求を放棄し、日本の国際復帰を強力に後押ししてくれました。
スリランカは、太平洋戦争終結の3年後に英国から独立を果たした国の一つであり、たいへん親日的な国なのです。
日本は、今後も、スリランカやインドとの関係を強化して、中国の覇権的な海洋進出を阻む必要があります。
※:3月1日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150301/wor1503010021-n1.html
参考:大川隆法総裁 海外巡錫レポート in スリランカhttp://the-liberty.com/article.php?item_id=3386