安倍首相率いる現政府は、自衛隊による海外での邦人救出を可能とする法整備を行いたい意向です。
これに対し与党である公明党は、「自衛隊の装備や能力で、外国で邦人救出のような危険な活動を行うことは果たして可能なのか」や、「自衛隊の安全を確保できるのか」などと、法整備に後ろ向きです(※)。
しかし、他に邦人救出の手段がないのであれば、こうした法整備を行うことは国家として当然と考えます。
与党である公明党が言うように「果たして可能なのか」と否定的に考えるのではなく、まずは現有の装備と能力で、「何が可能で何ができないのか」考えるべきです。その上で、必要ならば装備などをそろえるべきではないでしょうか。
そもそも、敵の勢力圏下での救出作戦は、米軍であっても簡単なことではありません。
実際に米軍は、先に捕虜となったヨルダン人パイロットを「イスラム国」から救出する作戦を計画しましたがうまくいかなかったとされています。
つまり、「こうした装備を整え、訓練を実施すれば、救出作戦が100%成功する」といったものはないのです。
また、自衛隊は、国や国民を守るために存在し、そのために尊敬されるべき存在です。
自衛隊員の生命ももちろん大切ですが、「火事の現場は危険なので火が消えるまで消防士を派遣しない」という類の論争には違和感を覚えます。
政府も、「日本人がテロなどに遭遇した領域国の同意があり、その国の権力が維持されている範囲で」との前提条件を儲けたいようですが、国民を守るためにはこうした前提条件は障害となり得ます。
政府は、国民を守る責務があるのですから、邦人救出にあたっては、問題解決のための選択肢を増やすことが大切なので、制約を設けるべきではありません。
※:2月27日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20150227/k10015800931000.html