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2015/02/20【法律が骨抜きに】

 政府は、自衛隊が外国軍部隊への後方支援を行うことができるようにする法律の制定を進めています。
既に、日本は対テロ作戦などで外国部隊艦船への給油などを時限法で実施してきましたが、今回は恒久法化を目指すものです。

 こうした法律の制定は、日本が国際社会で必要な役割を果たす上で重要ですし、日本の安全保障環境を整備する上でも重要です。
政府・自民党は、この法律での支援の対象に、国連決議に基づかない自衛権や領域国の同意を根拠として活動する外国軍部隊も含めたい意向ですが、報道によれば、連立与党である公明党を中心に、支援の対象として国連決議に基づく活動に限定したい意向があると報じられています(※)。

 しかし、国連決議に基づく活動に限定した場合、この法律が骨抜きになる恐れがあります。
ご存知のように、国連決議では常任理事国である5ヶ国にのみ拒否権があり、これまでも主に米英仏と中露では思惑の違いにより、世界での重要な問題で5ヶ国が一致して行動がとれなかったことが多々ありました。
つまり、例えば中国の利害が絡む問題では、中国が拒否権を発動して決議が得られないことが容易に想定できるのです。

 常任理事国にのみ拒否権という特権がある今の国連に多くを期待することはできません。
法律を実効あるものにするためには、国連決議に依存するのではなく、正しい善悪の判断に基づいて支援の対象を決めることが求められるのではないでしょうか。

※:2月19日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20150219/t10015593061000.htm