来日中のイギリス上院議員ナジール・アーメド氏は、フランスでのテロ事件などについて、「表現の自由は大切だが、繊細な問題に配慮した自由であるべきで、バランスが必要」と述べました(※)。
この主張には理解できるものがあります。
確かに、「表現の自由」や「言論の自由」は、現代の民主主義を担保する上で重要ですが、「だからと言って何を言っても許されるわけではない」のではないでしょうか。
言論による個人攻撃は名誉棄損などで制限ができますが、宗教や公人といったものに対する攻撃は事実上制限が無い状態です。
これを制限するとなれば言論統制など様々な問題が懸念されるからこそ、自由を守る意味でマスコミやメディアには高い倫理観や道徳心が求められるのではないでしょうか。
フランスでのテロ事件を受けて、世界のマスコミの中には、シャルリー・エブド紙が掲載して問題となったイスラム教を揶揄する風刺画の転載を見送った社が幾つもありました。
これらの社は、自身にテロが及ぶことを恐れたというよりは、多くの善良なイスラム教徒の心情に配慮したからです。
「信教の自由」が保障されている通り、宗教は公的なものであると同時に、信仰は個人においても極めて尊重すべきものです。
テロは強く非難されるべきですが、「表現の自由」があるからと言って、信仰を侮辱したり、笑い飛ばしたりする内容を幾度も発行する行為も非難するに値するのではないでしょうか。
※:2月17日付産経新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20150216-OYT1T50119.html