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2015/02/17【企業の中国離れは円安だけが理由ではない】

 近ごろ、海外に進出した日本の製造業が、製造拠点を日本国内に戻す動きがあります。
これは、最近の円安や、「メードインジャパン」の効果が見直されていることなどが影響しているのが一因のようです。

 特に、中国からの製造業の撤退の動きが顕著です。
こうした動きについて中国政府は、中国国内での賃金など製造コストの上昇や、中国の経済成長が鈍化していることを上げ、グローバル企業の再編は正常な活動であるとしています(※)。

 しかし、日本企業だけでなく海外企業の中国事業からの撤退には、いわゆる「チャイナリスク」の浸透があるということは否定できません。
特に、2012年の反日デモの際に、日本企業は襲撃されたり、不買運動にあったりし、大きな損害を被りました。
また、昨年は、第二次世界大戦当時の賠償として当局に商船三井の船が差し押さえられましたし、突然、独占禁止法違反を理由に、メジャーな外資系企業に巨額の罰金が科されるなどしています。

 これらは、中国政府による政治的な意図が強く反映されているとされます。
つまり、中国政府の意向でいくらでもビジネス環境を変えることができ、必要ならいつでも資本や利益を奪われてしまうということです。

 更に最近では、PM2.5など世界的に類を見ないほどの大気汚染による健康被害まで懸念されています。

 企業経営者として中国市場の大きさに進出せざるを得ない気持ちも分かりますが、チャイナリスクを考慮すれば、法治ではなく人治国家である中国への進出は賭けであることが分かります。
経営者として中国からの撤退の判断は、中国政府が言うように、まさに「正常な活動」なのだと考えられます。

※:2月16日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20150216/k10015493621000.html