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2015/02/05【悪平等に繋がる危険性】

『21世紀の資本』の著者であるピケティ教授が来日して以降、各メディアで同氏が取り上げられています。
以前このブログでも触れましたが、ピケティ氏の主張は、「現代の資本主義は、富める者はより富み、そうでない者との格差が広がっている。その不平等を解消するためには、所得と資産の両方への累進課税を強化すべき」ということです。

 民主党の岡田代表は、来日したピケティ氏と会談し、ピケティ氏がアベノミクスは格差を拡大すると指摘したことを受けて、今後、岡田氏は格差解消で与党と対峙していく姿勢を強めるようです。(※)。
このように、ピケティ氏の主張は、マルクスの『資本論』のように左翼からバイブルのように利用される様相を呈しています。

 しかし、ピケティ氏の主張には、どうやったら富の総量が増えるかといった処方箋はありません。
富の総量を増やすことを考えずに、所得や資産の格差が開いたからと言って、課税を強化して持てる者から持たざる者へ再分配したところで、その先に待っているのは貧しさの平等です。

富める者を羨ましく思う気持ちは分からなくもありませんが、金持ちを貧乏にしたところで、自らが豊かになることはないのです。
日本では、高所得者への課税率が既に5割を超えています。
所得の半分以上を徴税されている時点で、憲法で保障された私有財産が犯されている疑いさえあります。所得と資産への課税を強化は、まさに共産主義の思想そのものです。

ピケティ氏の主張は、曲解されると悪平等に繋がりかねないので注意が必要です。

※:2月4日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150204-OYT1T50035.html