2016会計年度の米国の国防予算案は、382億ドル多い5,343億ドルとなる見込みです(※)。
この数字には、現在行っている戦費は含まれておらず、近年に無く大幅な増額です。
オバマ大統領は、財政赤字の削減と、オバマケアなど従来の米国には無かった社会主義的な政策を実現させるために、国防費を削減する傾向にありました。
しかし、ここに来て、過激派への対応と、欧米が神経を尖らすウクライナ情勢をはじめとしたロシアへの対抗などを目的に、国防費を大幅に増額せざるを得ない状況になったと言えます。
別の言い方をすれば、オバマ大統領は軍事面に関し先見性が無かったということではないでしょうか。
現在の中東での混乱も、元をたどれば、従来は世界の警察官として毅然と行動していた米国が、介入に躊躇している間に事態が手に負えなくなったとも言えます。
また、オバマ大統領は軍の配置をアジア重視に見直すと言いっていたものの、次々に新兵器を開発する中国に対し、優位性を維持するためにもさすがに安閑としていられないと危機感が露わになったとも言えます。
国防予算の増額は、同盟国日本にとっては朗報ですが、長い目で見ると米国の財政緊縮化の必要性に変わりはないので、米軍の縮退傾向は否定できません。
日本は自主防衛力の整備を怠ってはならないという状況に変わりはないのです。
※:2月3日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20150203-OYT1T50002.html?from=ytop_ylist