日本の将来の電源構成はどうあるべきかを議論するいわゆるエネルギーミックス、あるはベストミックスと言われる議論の有識者会議が始まりました(※)。
この議論は経済産業省が設けたもので、2030年のあるべき姿を策定することを目指しています。
議論では、原子力発電の扱いが最大の焦点と言えます。
福島第一原発の事故後、原発の再稼動が困難な状況が続いていますが、安全性、コスト、安定供給、環境負荷などの観点で活発な議論が予想されます。
しかし、忘れてならないのは安全保障の観点です。
原子力発電の依存度を下げて、再生可能エネルギーの割合を上げる方向で議論が進むことが予想されますが、2030年時点でも火力発電が大きな割合を占めることは確実です。
ここで考えておかなければならないことは、万一、化石燃料の輸入が滞った場合、どうするかということです。
短期間であれば備蓄を取り崩すことで対処できますが、化石燃料の調達は産油国や輸送ルート上の国際情勢に大きく左右されるのです。再生可能エネルギーでは、どうやっても火力発電の穴埋めができるほどの規模は確保できません。
先の大戦の例を引き合いに出すまでもなく、化石燃料の調達の可否は、戦争に至る要因ともなり得るのです。
そこで資源の乏しい日本にとって有益な電源が原子力発電なのです。
今後、再生可能エネルギーについては性能向上が進むと思われますし、メタンハイドレートなど日本でも自前の資源開発が進展する可能性もありますが、原子力発電は、万一の際に日本の生命線となるエネルギー源であるということ再認識する必要があるのではないでしょうか。
※:1月30日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20150130/k10015097661000.html