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2014/12/28【地方への安易な権限移譲は国力を弱める】

 大阪都構想の是非を問う住民投票が、来年5月に実施される見通しになったとのことです(※)。
大阪府議会や大阪市議会で多数を占める大阪維新の会と公明党が合意したもので、大阪市民を対象に行われることになります。

 確かに大阪都構想は、二重行政による無駄を無くしたり、地方に権限を委譲することで各地方が切磋琢磨して国全体が発展したりできればメリットはあります。

 しかし、現実には、国難とも言える時代にあって地方への権限移譲を進めることは、国家の中をバラバラにし国全体の力が衰える方向に作用します。

 例えば、先に行われた沖縄県知事選で当選した新知事は、普天間基地の県内移設反対・早期閉鎖を柱に据えて県政を担うとしていますが、これでは明らかに同基地の辺野古地区への移設計画が停滞してしまいます。
知事の判断は、沖縄県民を含む日本全体のみならず東アジアの安全保障という観点が欠落しているといえます。

 また、例えば来春に開通する北陸新幹線の建設に当たって、新潟県知事が県内に停車する列車の本数が希望通りにならないとして、負担分の建設費の拠出を一時拒否する姿勢を示し、新幹線の開通を悲願としていた北陸他県の関係者をヤキモキさせました。

 このように、地方への安易な権限移譲は、地方の利益の最大化を図る動きが強まり、国としての一体性が弱まってしまう恐れがあります。
米国やロシアのように広大な国家であれば別ですが、米国一州ほどの狭い国土の日本は強いリーダーシップのもとで国としての一体性を高めた方が力を発揮できます。
特に、中国の脅威が増大している状況では国家として団結することがより重要です。

※:12月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141227-OYT1T50121.html?from=ytop_ylist