10月
15

2014/10/15【今こそロシアとの経済関係強化を】

欧米を中心としたロシアへの経済制裁により、中露の結び付きが強まっています。

中国の脅威が増大する中で、中露が連携を強めることは、日本としては避けなければなりません。

一方で、日本有事の際は米国に頼らなければならない現実があり、日本としては欧米との連携を無視することはできません。

日本は、欧米との連携を維持しつつも、ロシアへの立場に一定の理解を示すといった難しいバランス外交を迫られています。

 
そうした中で、日本企業が参加する予定のロシア極東でのLNGプラント建設計画から、ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムが撤退することを示唆しました(※)。

計画が撤回されれば、東シベリアからのLNGの輸出は、唯一の供給先となる中国への依存が決定的となるとの見方があります。

 
今回の計画撤回の示唆は、欧米の制裁に同調する姿勢を示す日本への牽制の意味合いが強いものと推測されます。

 
欧米の制裁のきっかけはロシアによるクリミア併合であり、中国の力による海洋進出を踏まえれば、日本としては力による現状変更は許さない姿勢を示す必要があるように思えます。

 

 

しかし、クリミアやウクライナは、歴史的にもロシアとの関係が深くソ連時代は同一の国家の間柄でした。

対して中国が侵出を目論む尖閣諸島や南シナ海の島々などは、歴史的に中国の領土であった事実は無く、中国の主張に客観的な根拠はありません。

 

 

従って、今回のロシアのウクライナでの一連の動きと、中国の力による海洋進出は背景が全く異なるものです。

政府は、そうした認識を内外に示しつつ、現在の良好な日露首脳間の関係を生かして、中露間にくさびを打つべく、まずは経済面で日露間の連携を強める必要があるのではないでしょうか。

 
※:10月14日付産経新聞http://www.sankei.com/economy/news/141014/ecn1410140035-n1.html
参考:HRPニュースファイル「日露パイプラインで、エネルギー安全保障を盤石にせよ」http://hrp-newsfile.jp/2014/1749/