朝日新聞が、福島第一原発の事故に関して、事故後、多くの原発職員が所長の命令に反して撤退していたと報じた記事を、誤りであったとして撤回しました(※)。
朝日新聞の自らの過ちを認める姿勢は評価できますが、今回の誤報は、東電社員のみならず日本の技術者全体を貶めるものであり、いわゆる従軍慰安婦の報道に関する誤りと合わせて、大手の報道機関として責任がたいへん大きいと言えます。
1つの事実に対する報道姿勢は立場により異なることがあるかもしれませんが、無かったことを有ったことのように報道することは問題外です。
こうした報道が行われた根底には、原発や東電を悪と決めつけ、世論を脱原発へと導きたい意図があったのではないでしょうか。
福島第一原発の事故後、朝日新聞をはじめとした左翼マスコミは、一貫して放射能の恐怖を煽るような報道を行ってきました。
その結果、脱原発の世論を形成することに一定の成功をおさめたのかもしれませんが、報道被害とも言える風評も広まりました。
科学的な根拠に基づく一般的な見解では、福島第一原発で拡散した放射能により福島県内で健康被害が出ることは考えにくいとされています。
また、エネルギー安全保障の観点からは、エネルギー自給率が1割に遠く及ばない日本が、安定電源である原発を放棄することは現時点で考えられません。
今回の一件で、朝日新聞の報道姿勢が変わることを期待したいと思います。
そうでもしなければ、風評被害による苦しみが続きますし、日本のエネルギー政策を誤らせてしまう恐れがありますると思います。
※:9月11日付朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASG9C63FTG9CUTIL04Q.html?iref=comtop_6_01