米国政府は、南シナ海の公海上空で監視飛行をしていた米海軍の哨戒機に対し中国軍の戦闘機が異常接近したため、中国側に抗議したと発表しました(※)。
中国軍機は米海軍機に対し6mの距離まで接近したと伝えられ、この距離は中国軍の戦闘機の大きさよりも小さく、気流の変動などの不確定な要素で容易に接触してしまうような距離です。示威行動の指示がったにせよ、明らかに中国軍機パイロットの蛮勇と言える行為であり、中国軍機による度重なる同様の事例から、中国軍が正規軍でありながら如何に統制がとれていないかを示しています。
2001年にも今回と同じ空域で、米海軍の電子偵察機に対し中国軍の戦闘機が異常接近して空中接触事故を起こし、中国軍機が墜落し、米軍機は中国の海南島に緊急着陸するという事件が起こりました。この事件では、米海軍の乗員が中国当局により拘束され、米中間の外交問題に発展しました。その後、乗員は機体とともに返還されましたが、米偵察機に搭載されていた高度な技術情報が中国側に流出したと言われています。
今回も、米海軍機は配備の始まったばかりの最新鋭のP-8と言われる哨戒機で、極めて高度な探知・情報収集機器を搭載しています。中国側はP-8であることを承知の上で、あえて異常接近を行い、あわよくば空中接触事故を起こしてまでもP-8の技術情報を入手しようとし、それが叶わなくとも、情報収集能力の高い最新鋭機による哨戒を思いとどまらせようとする思惑があるのであれば、日米の安全保障にとっても深刻な問題となります。
やはり、中国軍に対しては、国際法や国際常識は通用しないと理解すべきです。
※:8月23日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20140823-OYT1T50004.html?from=ytop_main1