小野寺防衛相は、ウクライナ情勢を受けて、現在、日本側から日露間の防衛交流を見合わせている旨を明らかにしました(※)。
日本政府は既に、マレーシア航空機撃墜事件以降、欧米に歩調を合わせる形でロシアに対する追加の制裁を決めていますが、対応を誤ればロシアの日本に対する態度が硬化する恐れがあります。
それは、つまり中露の接近を促すものです。日本は、覇権的な海洋進出を強める中国の脅威にさらされており、潜在的に中国と敵対するロシアを日本側に引き込むことは、中国の背後を牽制することに繋がり、中国は思うがままに海洋進出を行うことが困難になります。
特に欧州は、地理的に離れているため中国を現実の脅威として正確に認識しているのか疑問です。
そもそも、ロシアがどこまでウクライナの親ロシア勢力を掌握しているのか疑問が残っているのですから、欧米に同調するあまり、対中国で日本の国益を失う事態は避けなければなりません。
欧州の中にも、ロシアへの制裁を主導するオバマ大統領は、シリア問題などの対応などから分かるように、口先だけの介入であると見透かしている見方があります。日本は、こうした見方を考慮しながら、欧米とロシアとの間でバランスのとれた外交を展開する必要があります。
※:8月4日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140804/plc14080418380015-n1.htm