中国政府は、米マイクロソフト社の中国法人に対し立ち入り調査をはじめました(※1)。名目は、独占禁止法違反の疑いとのことですが、背景にはサイバー空間をめぐる米中間の応酬があるようです。
米政府は、情報流出やサイバー攻撃の懸念がるとして、既に中国の華為技術社製のネットワーク機器を政府のITネットワーク構築に使用してはならないとしています。
これに対し中国側も、国内で大きなシェアを占めるマイクロソフト社のパソコン用の基本ソフト「Windows」を介して情報が米側に漏れると懸念しているとされます。今回の米マイクロソフト社の中国法人に対する調査は、米国に対する経済的、政治的な牽制の意味合いが大きいと思われますが、サイバー空間での安全保障的においても米中間の駆け引きが続いているのです。
サイバー空間を構築するIT技術は、もともとは軍事分野から発祥したものですが、基本的な仕様が民間に解放されたことで爆発的に発展しました。IT技術に関する特定の分野では、民間の方が優れた技術力を有しており、サイバー空間の安全保障を考えた場合、民間の協力が不可欠になっています。
対して日本の場合は、サイバー空間の防衛がようやく動き出した段階です。元自衛官でもある幸福実現党の横井基至氏は、「サイバー攻撃から国益を守るため官民一体の協力体制が必要」と指摘しています(※2)。日本も、宇宙空間に続く第5の戦場と言われるサイバー空間の防衛体制強化を急ぐべきではないでしょうか。
※1:7月29日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/140728/chn14072820500008-n1.htm
※2:7月29日付幸福実現党HRPニュースファイルhttp://hrp-newsfile.jp/2014/1609/