南シナ海での中国による一方的な石油掘削に反発して、ベトナムでは反中デモが頻発し、ベトナム人の中国に対する感情が悪化しています。
こうしたベトナム人の国民感情の悪化は、中国政府はベトナムの歴史の中で中国を敵視する「反中史観」が原因であるとしてベトナム政府を批判しています(※)。
しかし、一昨年、中国では反日デモが猛威を振るいましたが、その原因の一つは明らかに中国政府による「反日史観」教育です。
さすがに、自らのことを棚に上げて何の臆面もなくベトナムを批判する中国政府の姿勢に対し、中国国内からも疑問の声が上がっています。
もともと中国共産党政府は、民主的な手続きに基づいて成立した政権ではありません。
そのため日本をできるだけ悪者に仕立て、その日本を打ち破ったとして自らの正当性を誇示する思惑があるのです。
こうした戦略は、共産党の一党独裁を維持するために必要と考えているのかもしれませんが、中国国民にとってはマイナスです。
日本企業は、度重なる反日デモを教訓にチャイナリスクを真剣に認識するようになり、中国政府が発表した今年1月から5月の外国直接投資額によると、日本からの直接投資は前年同期比で42%も減少したとのことです。
経済の失速は、そのまま共産党政府への求心力低下に繋がります。
中長期的に考えれば、日本との関係を改善することは、実利の面でもプラスであると、中国政府は認識すべきではないでしょうか。
※:6月22日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/20140622-OYT1T50029.html?from=ycont_top_txt