ウクライナ東部で親ロシア派の住民に影響力を行使しているとして、欧米はロシアへの追加制裁の実施を決めました。
日本政府もこれに同調する形で4月29日、ロシア政府関係者らへのビザ発給を当面停止する追加制裁を発表しました。
ここでなぜ、ロシアがウクライナへの関与の手を弛めないのか、別の側面から見てみます。
ロシアは、先にロシアの黒海艦隊の基地があるウクライナのクリミアを併合しましたが、ウクライナはロシア軍の軍需品の一大供給基地でもあるのです(※)。
例えば、現在のロシア軍の主力輸送機は、イリューシン社製とアントノフ社製が中心ですが、そのアントノフ社はウクライナが本拠地です。
また、ウクライナにあるモトールシチ社は、ロシア軍の多くのヘリコプターにエンジンを供給しています。
更に、ロシアにとっての安全保障の要である大陸間弾道弾の誘導装置も、ウクライナにある企業が製造しているのです。
この他にもウクライナにある軍事関連産業は枚挙に暇がありませんが、ロシアにしてみればウクライナは軍事的にも死活的に重要であることが分かります。
ソ連時代は、ウクライナはソ連にとって日本でいうところの県の一つに過ぎないイメージでしたが、ソ連崩壊後、ウクライナが欧米の勢力下に入ることは、ロシアの立場から見れば如何に危機感が大きいか分かります。
欧米にはロシアをナチスの脅威に例える風潮もありますが、こうしたロシアの立場を踏まえた上で、ウクライナ問題を平和裏に解決する努力をすべきではないでしょうか。
※:4月23日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/140423/erp14042309020002-n2.htm