中国の軍拡は急速に進んでおり、その軍事費はここ20年でほぼ毎年二桁の伸びを示していますが、正確な数字は公表されていません。
その中国は、日本に対し中国の脅威を口実に軍拡を行っているとしていますし、逆に、軍事費の透明性を高めなければならないのは日本の方だとしています(※)。
日本の防衛費は、10年以上もの間、横ばいかマイナスの伸びにとどまってきましたが、安倍政権になってようやく増額される見通しです。
しかし、その増分は、実際には、増税や円安などによる自然増分に過ぎないものです。
それにもかかわらず、日本国内においても、防衛費の増額は隣国に脅威を与えるとの声が決まれますし、新たな軍拡競争を危惧する声も聴かれます。
ここで、誤解のないように確認しますと、「専守防衛」という概念があるように、現状の日本の防衛力には、敵地を攻撃できる能力はほぼありません。
中国が大量に保有する弾道ミサイルや巡航ミサイルは、自衛隊は保有していませんし、約200機保有する航空自衛隊の主力戦闘機F-15にも、対地攻撃に不可欠な誘導爆弾を搭載する能力がありません。
もちろん、戦闘機や攻撃機を搭載可能な航空母艦も、自衛隊は保有していません。
ですから、逆に日本の脅威を喧伝している中国は、専守防衛に徹していることが分かっている自衛隊を、実際には自国への脅威と思っていません。
中国は、自らの野心を隠すために、日本の軍国主義復活を政治的に喧伝しているにすぎないといえます。
中国は、日本の防衛力増強を牽制しつつ、自らの攻撃力を増強しています。
中国の野心を挫くための、抑止力としての自衛隊による敵地攻撃能力の保有は、日本にとって喫緊の課題です。
※:1月23日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/140123/kor14012316550005-n1.htm