小泉元首相の「原発即時ゼロ」発言が、少なからず世論に影響を与えているようです。
産経新聞などによる世論調査で、小泉氏が「原発即時ゼロ」を主張していることを支持すると回答した人が57.0%だったとのことです(※)。
ただ、小泉氏の「原発即時ゼロ」の主張には、原発に代わるエネルギーの裏付けがあるわけではありません。
小泉氏は、「(エネルギー確保については)原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案を出してくれる」とし、ある意味で無責任とも言える態度です。
小泉氏は、「政治は方針を示すことが大切」という旨も主張していますが、だとすると本来であれば、必要なエネルギーを経済的かつ安定的に確保することこそが方針であるべきであり、原発や再生可能エネルギーはそれを実現するための手段に過ぎないのではないでしょうか。
国際エネルギー機関による報告で、日本は2035年、米国に比べて電力価格が約2倍となる結果、産業競争力を失い、鉄鋼や化学などの分野で輸出の世界シェアの約4割を失うとの見通しが示されています。
情勢が不安定な地域から大部分がもたらされる化石燃料や、コストが高く安定性の低い再生可能エネルギーのみに依存すべきではありません。
高レベル放射性廃棄物の処理については、既に地層処分が技術的に確立されており、あとは受け入れ先をどこにするかという政治的な問題が残っているだけと言えます。
従って、安全が確認された原発を再稼動することこそ政治家として真に責任ある態度だと考えます。
原発事故による放射能の影響を過度に恐れる空気が支配する中で、ポピュリズムとも言えるような手法で、安倍政権を窮地に追い込むべきではありません。
小泉氏は、自ら政界を去った立場であることを思い出すべきではないでしょうか。
※:11月18日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131118/stt13111817310005-n1.htm