福島第一原発の事故により避難生活を余儀なくされている方々には本当に気の毒だと思います。
こうした方々の故郷への帰還を妨げている原因の一つに、放射線に関する誤ったイメージがあるのではないでしょうか。
現在、除染の目安が年間被ばく線量で1ミリシーベルト未満ですが、国際的には年間100ミリシーベルトでも健康被害は出ないとされています。
放射線防護学研究家の高田純教授によれば、福島第一原発の20キロ圏内で2泊3日して個人線量を調べた結果、町の外に一切出かけずに暮らし、除染もしないという前提で計算しても、個人線量は年間20ミリシーベルト未満ということでした。
しかも、政府は空間や土壌の放射線量を測って年間に換算するということをしていますが、生身の人間個々人の線量を測らなければ意味がありません。
空間線量は、実際に生活している人が受けるよりも被ばく量が多くなるような測定方法なのです。
最近、ようやくいくつかの良識的なマスコミが、被爆の基準を空間線量から個人線量に変えるべきとの主張(※1)や、帰還の目安を20ミリシーベルトにすべきとの主張(※2)が出てきました。
年間被ばく線量で1ミリシーベルトという値は、現実的には意味がありません。
政府は、除染に莫大な国費を投入しようとしていますが、本当は必要のない事業なのです。
このまま非現実的な除染目標を掲げることは、わざわざ帰還を困難にしているようなものです。
政府は、放射線による健康被害について科学的にきちんと説明するとともに、他のマスコミも放射線による恐怖をいたずらに煽るべきではないと考えます。
※1:11月16日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131115-OYT1T01454.htm
※2:11月13日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131113/dst13111303110002-n1.htm