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2013/10/30【天安門前での惨事の真意とは】

中国の政治の中心に近い北京の天安門前で、自動車が暴走し5人が死亡したとされる事件で、ウイグル族が関与しているとの情報があります(※)。

この事件は、当初から政治的な意図を持ったテロではないかとの声がありましたが、ウイグル族が関与しているとすると、警戒が厳しいはずの北京中心部で当局はテロを防げなかった可能性が高くなります。

しかし、面目を潰されることを極度に嫌う中国政府は、通常、こうした情報を表に出さないため、今回、何らかの意図をもってあえてリークさせていることも考えられます。

ウイグル族によるテロというと、中国政府は、米国などが行っているテロとの戦いになぞらえて、イスラム過激派による犯行と喧伝しますが、実際は、中国共産党によるウイグル族への過酷な弾圧の実態が背景にあります。

現在のウイグル自治区は、もともとは東トルキスタン共和国という独立国でした。

ウイグルでは1945年以降、中国によって独立運動のリーダーや宗教指導者、知識人などが、でたらめな理由で逮捕や処刑され、160万人以上が死亡または行方不明になっていると言われています。

また、ウイグル自治区内では、40回以上の核実験が行われ、その影響で19万人ものウイグル族が亡くなり、今でも129万人が健康被害で苦しんでいると言われています。

中国政府は詳細を未だに明らかにしていませんが、広島や長崎をしのぐ世界最悪の核被害と言えます。

更に、文化や宗教面での締め付けも厳しく、現在ウイグルの教育現場では、ウイグル民族同士さえもウイグル語で話すことを禁じられていいます。

そして、中国共産党は「ウイグル人はテロリストだ」とのイメージを植え付けているとのことです。

テロは決して肯定されることではありませんが、こうした方法でしか抵抗の意思を表せないウイグルの人々の心中を思うと胸が締め付けられます。

中国共産党によって侵略された民族はどうなるのか直視する必要があります。

※:10月29日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/131029/chn13102913020006-n1.htm