日本では考えられないことですが、米国では政府機関の一部が一時閉鎖されています。
これは、米上下院で与野党の多数派がねじれ状態にあり、与野党で折り合いが付かず、新年度に入ったにもかかわらず予算成立に支障をきたしているためです。
現在、上院は与党の民主党、下院は野党の共和党が多数を占めていますが、今回の一時閉鎖は、米国内では野党の共和党が悪いと見る向きが多いようです。
しかし、もともとは、財政難で国防費の大幅な削減などが強いられている中で、オバマ大統領が、多額の財政支出を伴う医療保険制度改革の実現を目指していることが混乱のもとになっているのではないでしょうか。
米民主党は従来からそうした傾向があるのですが、オバマ大統領の登場で、米国が一段と「福祉国家」に舵を取ったように映ります。
「フードスタンプ」といわれる食料費補助の導入などで、自助の精神を大切にしてきたはずの米国でも、「働かなくても食べていける」という意識が広まりつつあることに危惧を覚えます。
もちろん、セイフティーネットとしての最低限必要な社会保障は手当てすべきですが、バラマキ的な福祉国家に舵を切ることで、世界を牽引してきた米国の活気が失われる懸念があります。
翻って、日本の場合も、先に増税分の全額を社会保障費に充てるとして消費増税を決めましたが、現行の社会保障制度を維持するために、全額を消費税で賄おうとすると、将来的には税率が60%にもなるとの試算があります。
これでは活力が失われるばかりか、日本の国力はどんどん縮んでしまいます。
やはり、日本は、破たんが目に見えている年金制度など現行の社会保障制度を抜本的に見直して、自助努力の精神を大切にした社会の構築を目指していくべきではないでしょうか。