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2013/08/17【日本の防衛産業育成の見地から】

航空自衛隊の次期戦闘機として昨年にF-35の導入が決まりましたが、韓国でも次世代戦闘機の選定が進められています。

米軍にしか配備されていないF-22を除けば、F-35が世界最強の機体と言われており、日本がF-35の導入を決めたので、韓国もF-35の導入を図るのではと目されていました。

しかし、韓国軍の入札でF-35が外れたとする報道がありました(※)。

中露のステルス戦闘機が実戦配備間近と言われる中で、いわゆる西側の機体の中で純粋なステルス戦闘機とされるのはF-22とF-35だけであり、ステルス機と非ステルス機との戦闘では、圧倒的にステルス機が有利とされています。

しかし、今回の報道が事実とすれば、韓国軍は現実的な選択をしたとも言えます。

そもそも、韓国軍の主敵は北朝鮮であり、北朝鮮軍は当面はステルス戦闘機を配備する力は無く、入札に残ったとされるユーロファイターやサイレントイーグルは、北朝鮮の現有機に比べて圧倒的に高性能です。

また、F-35は開発が度重なり遅れているとともに価格も高騰しているという事情もあります。

しかも、導入にあたってユーロファイターやサイレントイーグルは、F-35に比べてブラックボックスが少ないと言われ、自国の航空機産業の発展に力を入れている韓国にとっても、こうした機体をライセンス生産できれば、技術力の向上に大いにプラスになるでしょう。

翻って、日本を見てみると、機体能力の高さからF-35の導入はいくつものメリットがありますが、必ずしも世界トップ水準に達していない日本の戦闘機開発においては、将来の防衛産業の育成の観点から最善とは言えません。

日本は、F-35のブラックボックスの開示を求めつつ、戦闘機開発に十分な予算を当てて地道に独自開発を続ける必要がありそうです。

※:8月16日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130816/kor13081621590002-n1.htm