米国の国家安全保障局が、通話情報や電子メールなどを大量に収集しているとされる問題で、この問題を告発した元CIA職員は、中国の工作に協力しているのではないかという疑いが浮上しています。
元職員は、現在、香港に滞在しているとされますが、なぜ、中国の影響下の強い香港に滞在しているのか疑問です。
更に、元職員が、この問題を告発したタイミングができすぎです。
先の米中首脳会談で、オバマ大統領は中国によるサイバー攻撃を議題として取り上げましたが、元職員の告発が報じられたのがこの会談の直前です。
米国をはじめ日本でも中国によるものとみられるサイバー攻撃に悩まされていますが、元職員は米国による他国へのハッキングも暴露しており、今後、米国がサイバー攻撃の被害者として一方的に中国を非難することが困難になりました。
案の定、中国政府は、米国によるハッキングについて、米側に説明を要求したとのことです(※)。
中国は、世界各国からハッキングなどサイバー攻撃の発信元と見られていますが、中国政府は自らもサイバー攻撃の被害者であるとの立場を崩していません。
元職員の告発はこうした中国の立場を補強するものです。
もしも、元職員が中国の工作に協力していることが事実であれば、米国の安全保障の中枢に中国のスパイ活動の手が伸びていることを示していることになります。
こうした中国のしたたかな戦略には注意が必要です。
日本でも、防衛省や自衛隊をはじめ、中国によるスパイ活動の懸念が常々あります。
もちろん警戒を行ってはなりませんが、既にスパイが活動しているという前提で対処を考える必要もあるのではないでしょうか。
※:6月17日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1702V_X10C13A6FF1000/