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2013/06/04【中国からの“棚上げ”の誘いに乗ってはいけない】

シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で、中国人民解放軍の高官が、沖縄県の尖閣諸島の領有について「棚上げ」すべきだと主張しました(※)。

中国は、日本とだけでなく、南沙諸島などの領有権を巡って東南アジア諸国とも争っており、各国からの風当たりの強さにここに来て主張を一歩後退させたのでしょうか。

尖閣諸島の棚上げ論については、日本国内でも連立を組む与党内部など親中勢力からも同調する声が聞こえますが、棚上げするということは領有権問題が存在していることを認めてしまうことになります

政府の菅官房長官は、中国人民解放軍の高官の発言について、棚上げすべき問題は存在しないと反論しましたが、これは当然の対応です。

尖閣問題の棚上げ論については、中国側が、1972年の日中国交正常化の際、双方がこの問題に触れないことを約束したとしているもので、日本側は、領土問題が存在しない以上、棚上げという合意もないとの立場を取っています。

よって、中国との関係改善を図りたいがために、棚上げという甘い誘いに乗ってはいけません。

日中国交正常化当時に、中国が主張し出した尖閣諸島の領有権について、当時の日本政府が明確に否定しなかったために、この問題は現在まで尾を引いていると言えます。

尖閣諸島をめぐる中国の主張は、ある日突然、他人が「お前の家の庭は俺のものだ」と言い出したも同然です。

問題を認めて話し合いで解決と言えば聞こえはいいですが、「私はあなたの庭の半分に譲歩するから、あなたも譲歩して庭の半分をよこせ」というようなことになってしまいます。

尖閣諸島については、国際法的にも歴史的にも日本の領土であることは明らかであり、中国側が根拠としている内容に何ら正当性は無いのですから、日本は問題を認めて話し合いで譲歩する必要は全く無いのです。

日本は毅然とした態度を貫くべきです。

※:6月2日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130602/chn13060218050006-n1.htm