中国がTPPへの参加の可能性について検討をしている旨の報道がありました(※)。
GDPが世界2位の中国がTPPに参加すれば、域内の経済規模が拡大するだけでなく、自由貿易を前提とするTPPですから、中国の自由化を促すことにも繋がるでしょう。
しかし、現在の中国では、国内法の解釈も共産党の一存で左右されるような中で、貿易の多くを国営企業が占めています。
TPPに参加すれば、高度な自由貿易により、国営企業の多くは既得権を手放すことを求められます。
もしも、TPPが求める自由貿易を中国が受け入れれば、それは、中国共産党の一党独裁体制の経済的な基盤を揺るがすことにも繋がりかねません。
従って、表向きには貿易の経済的な影響などを見定めるとしている中国が、実際にTPPに参加する可能性は低いのではないでしょうか。
ただし、規模の大きな中国の市場の誘惑に負けて、TPPが掲げる自由貿易の理念を骨抜きとするような条件や規制を設けて、中国共産党の意向に沿うような形でTPP参加を認めるようなことはあってはなりません。
それは明らかに自由の後退です。
中国が、今回TPPへの参加の可能性について検討を行っている背景には、TPPから締め出される中国の焦りがあるのかもしれません。
もしそうであるならば、TPPが「中国包囲網」として機能を果たしているということではないでしょうか。
※:5月31日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130531-OYT1T01264.htm?from=top