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2013/05/06【軍事力を背景に外交問題を高圧的に解決しようとする中国】

米国のシンクタンクが、中国の軍事力が2030年の日米同盟に与える影響を予測する報告書を公表しました(※1)。

同報告書では、日米同盟は日本周辺の空や海で軍事的な優位をかろうじて維持すると予測していますが、中国が今後もハイペースで軍拡を続け、軍事力を背景にした影響力を駆使して、日本との外交問題を高圧的に解決しようとすると分析しています。

実際に、中国は空母の建造に積極的です。

中国軍は、昨年、固定翼機を運用できる同軍初の空母「遼寧」を就役させましたが、中国軍の高官は「遼寧」に続く新たな空母の建造を表明しています(※2)。

今後、中国軍に複数の空母機動部隊が実戦配備されれば、その脅威は沖縄県の尖閣諸島の防衛だけに留まりません。

例えば、日本は資源の輸入など多くを海上輸送に頼っており、広大なシーレーンを防衛する必要があります。

この海上輸送の脅威の一つに潜水艦による攻撃がありますが、中国は潜水艦部隊も増強しています。

日本の広大なシーレーンをこれら潜水艦の脅威から守るための有効な手段の一つとして、自衛隊にはP-3やP-1といった哨戒機があります。

しかし、哨戒機は基本的に敵の制空権下では行動が制限されるため、中国本土から遠い洋上であっても中国軍に空母があれば、自衛隊は哨戒機による効率的な対潜哨戒を行うことが困難になります。

つまり、米軍の空母による援護が期待できなければ、空中給油の支援があったとしても、航空自衛隊の戦闘機が配備されている陸上基地から遠いシーレーンほど、防衛が困難になるわけです。

従って、日本は抑止力を維持するためにも、日米同盟を強化しつつも、米軍の縮退と中国軍の増強を見据えた対応を行っていかなければなりません。

それには、現在進めている海上自衛隊の潜水艦部隊の増強だけでなく、日本も空母での戦闘機の運用を具体的に進めていくべきではないでしょうか。

※1:5月4日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130504-OYT1T00455.htm

※2:4月24日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130424/chn13042415220003-n1.htm