内戦が続くシリアですが、4月30日には首都中心部で大規模な爆発があり、市民など13人が死亡し、70人以上が負傷したと伝えられています(※)。
政府軍と反政府組織の間で、市民を巻き込む応酬が繰り返されており、特に政府軍は既に7万人以上の自国民を殺害しているとされます。
シリアでは今月に入って、政府軍が化学兵器を使用した疑惑が持たれています。
世界の警察官を自負する米国は、シリアの内戦に関して不介入の立場を取っていますが、オバマ大統領は、化学兵器の使用を「越えてはならない一線」と位置づけてきました。
今回、政府軍による化学兵器の使用が最終的に確認された場合、米国が軍事介入するのか注目されます。
ただし、筋論からすれば、米国の介入の判断では、「化学兵器が使用されたかどうか」ではなく、「既に7万人以上もの多数の国民が殺害されたこと」のほうが問題視されるべきではないでしょうか。
今回も米国は化学兵器の使用を慎重に調査する構えですが、介入に消極的なオバマ政権が時間稼ぎをしているだけのようにも映ります。
本来であれば、世界の警察官たる米国は、問題を放置するのではなく一刻も早く虐殺を止めるべきです。
米国にも、軍事介入による事態の泥沼化や戦費増大、テロ組織の増殖などの懸念があることも理解できますが、朝鮮半島や台湾などの有事の際に、米国が本気で対応するのか疑念を待たざるを得ません。
従って、日本は、日米安保を強固なものとしつつも、将来、米国が地域のバランサーとしての役割を放棄した場合に備え、自主防衛力を着実に整備していく必要があるのではないでしょうか。
※:4月30日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130430-OYT1T01120.htm