沖縄県の尖閣諸島周辺海域での漁業権をめぐる「日台漁業協定」がようやく締結されました(※)。
今回の協定の締結で、日本側の漁業者、とりわけ沖縄の漁業者にとっては、台湾漁船の進出により漁獲高が減る懸念があるため、必要な補償は検討しなければなりませんが、今回の協定締結の意義は、日本の安全保障上も大きなものがあります。
尖閣諸島をめぐっては、台湾も領有権を主張しており、とりわけ周辺での漁業権の確保を前面に掲げていました。
一方で、中国が台湾に尖閣諸島に関して共闘を呼び掛けていたので、今回の協定締結は中台連携を阻止し中国を牽制する上で意義があります。
ただし、今回の日台による協定締結を中国は批判していますが、中国による経済的な報復の可能性のみならず、尖閣諸島周辺に進出した台湾漁船を、施政権の行使を名目に中国の公船が取り締まるような事態にも注意が必要です。
中国は、南シナ海の島々の領有をめぐってもフィリピンやベトナムなどと軋轢が生じています。
そうした国々は、経済力や軍事力の大きな中国に、ASEANなどを介して多国間で連携して対応したいのですが、中国はあくまでも当事国同士で個別に対応したい思惑があります。
つまり、東シナ海や南シナ海での領有権をめぐって中国は、多国間で連携されることを警戒している訳です。
従って、今回の協定締結のように、中国と領有権問題を抱える国々と逆に日本が連携して、中国包囲網を築いていくことが重要と考えます。
特にフィリピンは、日本の支援を期待しています。
安倍政権は、台湾とともにフィリピンといった民主主義の価値観を共有している国々との連携を、一層高めていくべきではないでしょうか。
※:4月10日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130410/plc13041009490010-n1.htm