4月4日、日銀は金融政策決定会合で、資金の供給量を2年間で現在の2倍の約270兆円に増やす大規模な金融緩和の実施を決めました。
日銀の黒田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、「これまでとは全く次元の異なる金融緩和だ。戦力の逐次投入をせずに、必要な政策をすべて講じた」と述べました(※1)。
前任の白川総裁は、必要な金融緩和に消極的であったばかりではなく、金融緩和を行っても、正に「戦力の逐次投入」といえるような緩慢な対応で、十分な効果を発揮できずにいました。
諸外国の中には、今回の日本の大規模な金融緩和は円安への誘導ではないかと危惧する声もあります。
しかし、リーマンショック以降、米国は資金の供給量を約3倍にまで増やすなど、各国の中央銀行は積極的な金融緩和を行ってきたのであり、日本はやっと世界の潮流に乗ったに過ぎないとも言えます。
その結果、5日も、円安が進み1ドル97円台をつけましたし、株価も4年ぶりに1万3千円台を付け、東証の売買高は過去最高を記録しました(※2)。
景気回復に向けて動き出したと言えますが、現実には、アベノミクスへの期待からの株高といえる段階にすぎません。
好景気になったと私たち国民が実感できるようになるためには、これから日銀が供給を増やす資金をどう生かすかがカギになります。
そのためには、今回の大規模な金融緩和の実施と合わせて、規制緩和と、次世代インフラの構築や航空宇宙産業の育成など新産業の創出を図っていく必要があると考えます。
※1:4月4日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20130404/k10013679651000.html
※2:4月5日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130405-OYT1T01171.htm