中国の全人代で、3月14日、習近平氏を国家主席に選出しました。
これで習氏は、党、軍、国家の3つの権力を掌握したことになり、習近平体制が正式にスタートしたと言えます。
習氏は、「中華民族の偉大な復興」を掲げており、今後も経済力と軍事力を背景に覇権的な動きを強めていくと見られ、日本の尖閣諸島をはじめとする東シナ海や南シナ海での海上権益の確保に向けて圧力を強めてくると予想されます。
そんな中、新型の哨戒機P-1が海上自衛隊に配備されました(※)。
哨戒機は、戦闘機などと比べると地味なイメージがありますが、広大な海洋面積を有する日本の海上防衛にとって肝となる装備の一つです。
哨戒機は、水上艦船や海中の潜水艦を探知・攻撃することが主な任務であり、現在、海上自衛隊は、哨戒機として米国製のP-3を国内でライセンス生産した機体を使用しています。このP-3の原型となった機体は60年以上も前に初飛行したプロペラ旅客機であり、老朽化により次期哨戒機の導入が待たれていました。
P-1は川崎重工が主体となって開発した純国産と言えるジェット機で、世界最高水準の能力を有していると言われます。
P-1は当面、神奈川県の厚木基地に配備されますが、今後、尖閣諸島周辺などでの海上警戒監視活動での活躍が期待されます。
また、P-1は、旅客機として民間利用することも検討されています。
三菱重工が開発中の小型旅客機MRJと比べると、計画が具体的に進んでいる訳ではないようですが、計画が実現すればMRJとともに日本の航空機製造産業が一層活気づくのではないでしょうか。
中国が海洋進出を強めている現状では、こうした装備を充実させることは抑止力を高める上でも重要です。
合わせて、防衛産業、航空宇宙産業を、日本の将来の基幹産業に育てていくことが、日本経済を発展させる上で重要と考えます。
※1:3月14日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130314/chn13031413030001-n1.htm
※2:3月14日付同http://photo.sankei.jp.msn.com/highlight/data/2013/03/12/16P1/