政府は、国民一人ひとりに番号をふり、収入や納税の状況、医療や介護などの利用情報を一元的に管理する「共通番号(マイナンバー)制度」の関連法案を、3月1日に閣議決定し、国会に提出しました。
民主党政権時にも提出された同法案は、先の衆院の解散で廃案になっていましたが、今回、自公明3党で修正して再提出したもので、今国会で成立する公算が大きくなっています。
政府は、この制度のメリットを、「行政サービスを受ける際に、住民票や所得証明書の添付が不要になるなど、国民の利便性が向上する」「社会保障や税に関する行政事務の効率化が図られる」としており、新聞各紙も概ねメリットしか記していないようです。
しかし、政府や官僚の目論見は別の所にあり、それはこの制度の導入により「政府が国民一人ひとりの所得や資産を把握し、脱税を防止する」ことにあります。
確かに、脱税を防止することは大切ですが、だからと言って、犯罪者でもない私たち一人ひとりの財布の中身まで政府に覗き見されることに大きな違和感を覚えませんか。
これは、中国のような監視国家に近づいていると言えなくもありません。
更に、今回の法案提出では、情報流出を防ぐ第三者機関の権限拡大を検討することを新たに盛り込んではいるものの、巧妙かつ高度化する中国など国家的なサイバー攻撃により、政府が一元管理しているデータが流出してしまったらどうなるのでしょか。
本来、脱税を防止したり、脱税の摘発を容易にしたりしたいのであれば、あまりにも複雑化しすぎた現在の税制を改め、フラットタックス制を導入するなどして、税制自体を簡素化すべきではないでしょうか。
※:3月1日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130301-OYT1T00474.htm