2月5日、小野寺防衛相は、1月30日に東シナ海で中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に対し、火器管制用レーダーを照射したことを明らかにしました(※)。
「火器管制用レーダーを照射した」ということは、火砲やミサイルなどの発射のために、いわゆる「ロックオン」した状態のことです。
これが事実であれば、「私はあなたを攻撃する意図がありますよ」ということを示したも同然の行為を行ったということであり、反撃されることも覚悟しなければなりません。
こうした行為は、非戦闘中の正規軍同士の間では通常あり得ません。
要するに、中国海軍は自衛隊を「舐めていた」ということです。
中国軍は近年、毎年約10%もの伸び率で軍備増強を続けている一方で、自衛隊は防衛費を削減し続けてきました。
10年前には海上自衛隊の足元にも及ばなかった中国海軍は、今なら自衛隊になら押していけると考えていることは容易に予想できます。
現実をみれば、「軍備削減は平和主義に繋がる」というのは妄想であることが分かったと思います。
軍事力を背景とした帝国主義を露わにする一党独裁国家が日本の近隣に存在する中で、防衛費を削減することは、抑止力を弱め、武力衝突の危険性を逆に高めるものと理解すべきです。
安倍政権は、来年度の防衛予算を増額することを決めましたが、現状では、自衛隊が要求している装備の中には、予算確保ができず後日装備とするものが多すぎます。
近代国家の正規軍としては異様に統制がとれていない中国軍の挑発に容易に乗ってはいけないことはもちろんですが、抑止力を高めると同時に自衛隊員の安全を守るためにも、必要な防衛予算は、国防債を発行してでも早急に確保すべきではないでしょうか。
※:2月5日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130205-OYT1T01270.htm?from=top