中国が、尖閣諸島周辺で、領海侵犯に続いて領空侵犯を常態化させつつあり、日本政府は航空自衛隊による警告射撃を検討しているとのことです(※1)。
領空侵犯した航空機が、無線による警告に従わない場合、スクランブル発進した戦闘機などから警告射撃を行うことは国際的には常識であり、これに対し、中国人民解放軍の少将が、中国メディアで「日本が曳光弾(一般に警告射撃などで使用される発光弾)を1発でも撃てば、それは開戦の一発を意味する」と発言したと報じられています(※2)。
先にこのブログで触れた中国人民解放軍総参謀部が「戦争の準備をせよ」との指示を出したとの報道でもわかる通り、中国側は尖閣諸島に関して緊迫度を急速に増大させています。
こうした中国人民解放軍の少将や参謀部の発言が、中国のメディアで取り上げられる狙いは、習近平指導部の発足にあたって、軍内部を引き締め求心力を高めると同時に、中国の週刊紙「南方週末」の一連の書き換え指示問題などで、自由を制限する共産党への民衆の怒りを逸らす狙いがあるものと考えられます。
更に、保守回帰が鮮明な安倍政権への牽制として、中国側が挑発や強硬姿勢を示すことで、日本側を怯ませる狙いがあるとも考えられます。
こうした中国による事態のエスカレーションは、日中両国の経済にマイナスの影響を及ぼしますが、中国としては経済よりも共産党一党独裁体制の維持が何よりも優先されます。
一方で、日本としてはこうした地政学的ともいえる潜在的な懸念事項が、回復基調にある日本の株価などを押し下げる要因ともなりかねません。
従って、日本は、外交努力で緊張緩和を目指すことは言うまでもありませんが、中国が醸成する軍事的緊張をものともしない、強固な防衛力を構築する必要があります。
盤石な防衛力があってこそ、安定した経済活動が行えるのです。
日本の国内からは、中国側の強硬な発言に恐れをなして、平和主義の美名の下、尖閣諸島の共同管理になびく勢力が出るかもしれませんが、それは、将来的に日本が自由を失い植民地化への道に繋がってしまうことを理解すべきです。
安倍政権は中国側の強硬姿勢に怯むことなく、毅然とした態度で対応していくべきです。
※1:1月9日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130109/plc13010906570010-n1.htm
※2:1月16日付同http://sankei.jp.msn.com/world/news/130116/chn13011620380012-n1.htm