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2013/01/07【フランスがユーロ危機の次の火種になる危険性】

フランスのオランド大統領が進める裕福層への課税強化に反対し、フランスを代表する俳優のドパルデュー氏が、1月5日、ロシア国籍を取得しました(※)。

フランスではオランド大統領が就任後、選挙公約を実行する形で、最高所得税率を75%とする方針を示しており、企業家など裕福層が国外へ脱出する例が相次いでいます。

高い税率を嫌って国外に脱出する裕福層に対しては、無責任との見方があるかもしれませんが、所得税率が75%というのは明らかにやりすぎです。

昔から五公五民という言葉がありますが、国に半分徴税されるだけでも厳しいにもかかわらず、4分の3を取られれば働く意欲が無くなるというものです。

こうした裕福層を狙い撃ちにした政策は、嫉妬を正当化するマルクス主義が色濃く表れたものです。

しかし、金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が豊かになることは無く、その未来に広がるのは貧しさの平等だけです。

裕福層への課税強化で、裕福層が海外に流出し、結局は税収が減ることは目に見えています。

むしろ、税制を簡素化し減税したほうが、裕福層が集まり、税収が増える可能性すらあります。

オランド大統領は、増税の一方で、有効な景気回復策を取ることができないでいます。

このままでは、富裕層や企業家がいなくなり、消費が滞り、雇用が失われ、フランス自体がユーロ危機の次の火種になる懸念があります。

日本でも、2013年度の税制改正大綱が1月下旬にまとめられる見通しですが、与党内から富裕層への課税強化の声が上がっており、日本は相次ぐ増税で、経済への影響が懸念されています。

安倍政権は、フランスを教訓として、増税や緊縮財政ではなく、財政出動や未来産業育成による経済成長を進めていくべきです。

※:1月6日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/world/news/130106/erp13010619410003-n1.htm