10月16日、中国海軍の駆逐艦やフリゲート艦など7隻からなる艦隊が、沖縄県の与那国島と西表島の間の日本の接続水域を通過ました(※1)。
同艦隊はその後、尖閣諸島に向けて北上した後、尖閣諸島手前で進路を西方に変え、中国本土方面に向かったとのことです。
これに対し、外務省は中国の駐日公使に、「日中関係の大局に鑑み、適切な対応を求める」と申し入れましたが、中国国防省は「通常の訓練と航行であり、正当で合法だ」と反論したとのことです。
しかし、接続水域は国際法上、軍艦の航行も認められていますが、中国艦隊は、台風を避けたとも言われているものの、日本の接続水域に入らずとも、中国方面に航行できるルートは数多くあります。
にもかかわらず、わざわざこの海域を航行したということは、尖閣諸島の国有化で、日中間で緊張が続いている中での、軍艦による日本に対する明らかな威嚇行為と言えます。
中国は、2009年3月に南シナ海の公海上で、米海軍調査船に妨害行為を繰り返したことがあります。
その際、中国は「米船は中国の許可を得ずして排他的経済水域に侵入した」と言い放ちました。
この中国の論法からすれば、排他的経済水域でもある接続水域に、許可なく侵入した中国艦隊には、日本側が妨害してもいいことになります。
日本政府は、こうした事実をはっきりと指摘し、対抗措置を講じるべきではないでしょうか。
19日には、中国の監視船が領海侵犯した外国艦船から公務を妨害されたと想定した中国海軍と国家海洋局などによる合同演習が東シナ海で行われました(※2)。
中国海軍による日本周辺での軍事行動は、日増しにエスカレートしています。
日本政府は、今回の中国海軍の行動にも事を荒立てない方針のようですが、この弱腰姿勢が中国の増長を読んでいると知るべきです。
※:10月17日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121017/plc12101701310003-n1.htm
※2:10月19日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20121019-OYT1T01231.htm?from=popin