連日、米海兵隊の新型輸送機オスプレイに関する報道がメディアを賑わせていますが、少し「行き過ぎ」といった感があります。
「オスプレイを載せた民間の輸送船が、○時○分に関門海峡を通過した」とか、「(岩国基地に陸揚げされたオスプレイが整備のために)プロペラを回し始めた」などと報道し、「オスプレイは危険」という印象を必要以上に強調しているように思えます。
オスプレイの10万飛行時間当たりの死傷者を出すなどの重大事故率は1.93で、米海兵隊の航空機全体の平均2.45を下回るというデータが出ています。
米国では、来年からオスプレイを大統領スタッフや報道陣の国内移動に使用することが決まっており、米国ではオスプレイを特別に危険視していないことが分かります。
しかし、7月26日には、オスプレイの10万飛行時間当たりの軽いけが人が出るといった軽度の事故率は10.46であり、米海兵隊の航空機全体の平均4.58を大幅に上回るとした報道がありました(※)。
こうした報道を見ていると、「やっぱりオスプレイは危険」という印象操作をしいているのではないかと思うこともあります。
似たようなことは、原発や放射能についての報道にも言えます。
いたずらに危険性を煽るような報道で「風評被害」が増えましたが、これなどは「風評被害」ではなくむしろ「報道被害」とも言えるものではないでしょうか。
例えば、食品に含まれる放射性物質の基準を自然放射能よりも強化したことなども、放射能への過度な反応の結果と言えます。
オスプレイを危険視する報道に対して、オスプレイを配備することの意義についての報道は散見するに留まります。
オスプレイの長い航続距離と積載量の多さや機動性は、尖閣諸島などの東シナ海周辺の防衛のみならず、韓国や台湾にとっても防衛上の大きなメリットと言えます。
オスプレイの配備反対を訴えることは、軍備拡張を続ける中国や北朝鮮を利することに繋がります。
もちろん、オスプレイが配備される予定の普天間基地は、一般住宅に隣接しており、辺野古地区への移設を急ぐべきですが、オスプレイについては、こうした国防上の視点からも議論することが必要なのではないでしょうか。
※:7月26日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20120726/t10013875451000.html