7月2日に小沢氏らが民主党から離党しましたが、現時点では、依然、民主党が単独で衆議院の過半数を維持しているため、すぐに内閣不信任案提出、可決、総辞職あるいは解散という流れにはならないようです。
しかし、民主党内では消費税増税をめぐって、小沢氏離党後も不協和音が響いますし、野田首相の政権運営も自民党と公明党への依存度を高めているため、政局は流動的です。
このように解散総選挙が取りざたされている中で、「一票の格差」の是正は進んでいません。
1票の格差については、昨年3月に最高裁が「2009年の衆院選は違憲状態」としましたが、このまま選挙に突入すれば、違憲状態が続くということになります。
民主党は、衆院選挙制度改革に関し、小選挙区で0増5減、比例定数で40減とし、比例代表のブロック制を廃して全国区に変え、新たな比例定数140の内35を連用制にするという法案を提出していますが、この法案は大政党に不利になるため、自民党が反対して審議が進んでいません。
ちなみに、この民主党の案を、2009年の衆院選に当てはめると、幸福実現党は1議席確保ということになります。
しかし、現行の小選挙区制は、また、2009年の総選挙で得票率47%の民主党が74%の議席を獲得したことからわかるように、死に票が増え、それだけ民意を反映していないという問題があります。
また、一票の格差があるため、地方票が重みをもちすぎるという問題もあります。
例えば、TPP交渉への参加の遅れは、TPPに反対する農業関係者の支持を得た地方選出議員の影響が大きいと言えますし、農業の効率化の妨げや国際競争力を低下させる農家への個別保障制度も同様です。
実際、生涯を通じた税金や社会保険料負担が、社会保障の受益をどれだけ上回るかを考えると、地方が有利で都市が不利との試算が出ています。
従って、今後の政局を踏まえると、一票の格差の是正や関連する選挙制度改革を早急に実施する必要があります。
そもそも小選挙区制自体が、新たな政党の参入を拒む制度と言えるものです。やはり、以前の中選挙区制に戻すことを考えるべきではないでしょうか。