6月11日、衆議院決算行政監視委員会に参考人として出席した東京都の石原知事は、都が購入を検討している尖閣諸島について、「本来は国が取得すべきだ。」と述べるとともに、政府がこれまで尖閣諸島について明確な対応をしてこなかったことを批判しました(※1)。
領土問題は本来、国家の仕事なので、石原氏の主張は至極当然なことです。
2010年の尖閣沖での中国漁船衝突事件でも明らかになったように、民主党政権からは国を護ろうとする姿勢がほとんど感じられません。
先に、日本政府関係者であるはずの在中国大使の丹羽氏が、石原氏の尖閣諸島の購入計画について反対意見を表明したのもその表れです。
丹羽氏は、初の民間出身の中国大使であり、中国ビジネスを積極的に展開している伊藤忠商事の元社長です。
同じく、実家のイオングループが積極的に中国展開をしている岡田副総理が、菅前首相のもとで主導して起用しました。
丹羽氏は、菅氏と同世代で、学生時代は学生運動に明け暮れ、60年安保闘争では、自治会委員長を務めるなど「学生運動の闘士」として先頭に立った人物です。
尖閣購入計画に反対する理由として丹羽氏は、「日中関係に極めて重大な結果をもたらす」「日中のビジネスに影響を及ぼす可能性がある」などとしています(※2)。
つまり、丹羽氏には「領土保全」といった日本の主権を守る意識がなく、商社の利益を追求する利益代表としての意識しか持ち合わせていないようです。
丹羽氏は5月4日にも、習近平国家副主席に対して、日本国内で石原氏の尖閣諸島の購入表明を支持する意見が多数を占めることについて、「日本の国民感情はおかしい」と述べています(※3)。
国を守りたいとする国民の善意を否定し、中国に阿る態度が如実に表れています。
こうした丹羽氏に対し民主党政権は、丹羽氏が玄葉外相に陳謝したことをもって、現時点では処分する考えはないようです。
しかし、丹羽氏の一連の言動は、事実上、尖閣諸島には日本の主権が及ばないことを国際社会に対して宣言したのも同然であり、今後、「尖閣諸島は中国の領土」とする中国の主張の根拠となるものです。
従って、民主党による丹羽氏の中国大使起用は、完全な失敗だったと言わざるを得ません。
政府は、国の主権よりも経済的な利益を優先するような、外交の鉄則を理解していない素人同然の丹羽氏を一刻も早く更迭すべきです。
※1:6月11日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120611-OYT1T00949.htm
※2:6月8日付ANN http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220607071.html
※3:6月8日付産経新聞http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120608/plc12060801300001-n1.htm