6月4日、野田首相は内閣改造を行い、参議院で問責決議を受けていた防衛相と国土交通相など5閣僚を交代する人事を行いました。
防衛問題について素人同然で、しかも親中派とされる田中氏の交代や、公職選挙法違反の疑いのある前田氏の交代は、当然であるとの声が聞かれますが、在日中国大使館一等書記官への機密情報漏えい疑惑がもたれている鹿野農水相も今回の人事で交代しました。この機密情報漏えい疑惑に関連しては、農林副大臣も事実上の引責辞任で交代しました。
野田政権は、機密情報漏えい疑惑に関する野党からの追及を、今回の人事で少しでもかわしたい思惑があるようですが、今回の機密情報漏えい疑惑で改めて認識させられたことは、日本に「スパイ防止法」がないことの不合理です。
今回の機密情報漏えい疑惑では、民主党の鹿野氏のグループに属する衆院議員の当時の公設秘書が代表を務める協議会が、問題の一等書記官と深いつながりを持っており、この代表を通じて機密性が最も高いレベルのものを含む農水省の内部資料が流出していたようです(※)。
こうした国益を大きく損ねる情報を漏らした恐れがある事件であっても、現在、日本国内ではそれを取り締まる十分な法律が整備されておらず、改正外為法や改正不正競争防止法では限界があり、窃盗罪など他の法律で取り締まらなければならない状況です。
スパイ防止法が整備されていない日本は、国際的にみても非常識です。政府は早急にスパイ防止法を整備して、防衛と外交に関する国家機密を守ると共に、他国に悪を侵させないという強い姿勢を示すべきではないでしょうか。
※5月30日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120529-OYT1T01585.htm