最近、ある人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していたことが問題となっていますが、この問題の本質は生活保護制度そのものにあるのではないでしょうか。
生活保護制度については、以前から様々な議論がありますが、世間の注目を浴びている今だからこそ、真剣に考え直してみる必要がありそうです。
厚生労働省の発表では、今年2月の時点で生活保護を受給した人は209万人を超え、平成24年度の生活保護費には約3兆7232億円が計上されています。
一方、不正受給は、平成22年度で、判明しただけでも2万5355件、約128億円が不正に支給されたとのことです。
以前このブログでも、若者の生活保護受給者が増えている旨を取り上げましたが、「国民の生活が第一」「格差是正」を掲げた民主党政権が誕生して以降、生活保護費は際限なく拡大しています。
2009年3月に厚生省が「働ける若い失業者に生活保護を支給するよう」都道府県に求める通知を出していましたが、政権交代後の同年12月、「速やかな保護決定」を改めて通知し、取得を容易にしたことで、生活保護の増加は歯止めがかからなくなりました。
こうした増加の背景には、人手不足などによる審査体制の甘さなどの問題もありますが、「最低賃金で1カ月働いても生活保護費よりも安い場合もある」といったように、生活保護自体が手厚すぎることが問題です。
その為、一度、生活保護を受けてしまうと、なかなかそこから抜け出せません。
歴代の政権は、「低賃金でも一生懸命働いた者の収入」より、「働かずに得られる収入」のほうが多いという、逆転現象を生み出し、制度の欠陥を利用する人を生み出したのです。
本来、生活保護は、憲法の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権の規定に基づいた、最低限度の生活を保障し、自立を助けるための福祉制度です。
行き過ぎた所得分配政策は、個人の自助努力の精神を崩壊させ、国家から活力が失われます。
このまま、増税を行って生活保護に充てても、国民全体が豊かになることはありません。
必要なのは「富の再分配機能を強化すること」ではなく、「日本経済を成長させ、富そのものを増大させて、失業を減らすこと」です。
同時に、家族や地域による助け合いを基本とし、自助努力の精神に基づく「努力した人が報われる社会」を目指す必要があるのではないでしょうか。