5月24日に、米国務省が発表した報告書(※1)によると、中国では人権派活動家や弁護士に対する抑圧や政治的弾圧が日常的に行われ、人権状況は悪化し続けているということです。
法的手続きを経ない死刑や拷問も横行しており、5月に渡米した中国の盲目の人権活動家である陳光誠氏は、7年以上にも及んで自宅軟禁下に置かれていました。
同氏は、「中国政府が向き合わねばならない根本問題は、無法状態だ。中国に欠けているのは法律ではなく法治」と指摘しています(※2)。
更に、同氏は「中国では、重要案件は司法機関でなく共産党が牛耳る。地裁から最高裁に到るまで、警察・検察官・裁判官の動きを決めるのは中国共産党政法委員会だ。」と述べています。
中国共産党の一党独裁を維持するために行われている人権の抑圧・弾圧がなされていることが、あらためてよくわかります。
中国政府や共産党に根本的に欠けているのは「正しさ」を求める心です。
これは、法律の上位にある正しさの基準を教える宗教を排除した唯物論国家の結末を物語っているのではないでしょうか。
中国政府は最近になって統治の手段として孔子を利用する動きを見せています。
儒教を宗教とすることに異論もありますが、中国政府は、せめて孔子も求めた「正しさ」の徳目に立ち返り、口先だけではなくそれを真に学べば、こうした弾圧や抑圧は行えないのではないでしょうか。
※1:「世界約200カ国における人権状況に関する報告書(2011年)」
※2:5月31日付 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン