5月18日、米国防総省が、中国の軍事力に関する年次報告書(2012年版)を発表しました(※)。
その中で、中国初の国産空母について、昨年の同報告書と同様に、2011年中に建造に着手する可能性があるとし、2015年までに就役する見通しを改めて示しました。
このように拡張を続ける中国海軍ですが、脅威が増す中国の艦船に対する抑止力として自衛隊が保有する主な攻撃兵器を整理してみます。
一つ目は、潜水艦による魚雷です。
二つ目は、水上艦艇、潜水艦、航空機、そして陸上からの対艦ミサイルです。
3つ目は、艦砲です。
その他、航空機による爆弾や、機雷なども考えられますが、柱となるものは、魚雷と対艦ミサイルでしょう。
今回は、対艦ミサイルを取り上げてみます。
対艦ミサイルは、現代の対水上戦闘においてきわめて有効な兵器とされていますが、沖縄周辺の自衛隊に、対艦ミサイルを装備できる戦闘機や、陸上発射型の対艦ミサイルは配備されていません。
那覇空港に、対艦ミサイルを発射できる哨戒機が配備されていますが、プロペラ機でもあるため自軍の制空権下でしか行動できない制約などがあります。
また、先にこのブログでも触れましたが、南西諸島には、海上自衛隊の艦船が配備されておらず、対艦ミサイルを装備した艦艇が周辺を哨戒する際は、本土の基地から遠征している状態です。
また、自衛隊が装備する主な対艦ミサイルは、米国製のハープーンの系統と、国産のASM-1を淵源とする系統の二つがあります。
それぞれ、世界のトップクラスの性能を有しているとされています。
しかし、艦艇の側の防御手段も日進月歩で向上している中で、いずれも亜音速である自衛隊の対艦ミサイルでは、心もとない部分もあることは事実です。
このように、対艦ミサイル一つとってみても、東シナ海における中国海軍の脅威に対処するための自衛隊の装備は脆弱と言わざるを得ません。
政府はこうした状況を認識して、抑止力として早急に適切な戦力を南西諸島に配備するとともに、次世代の対艦ミサイルの開発を完了させるべきではないでしょうか。
※:5月18日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3EAE2E4E08DE3EAE2E7E0E2E3E09494E3E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000